
サイバー攻撃対策の新常識、
教育とメール訓練で企業を守る

【目次】
「最近、社内で怪しいメールが届いた」「取引先を装った不審なリンクが送られてきた」
そんな声を耳にする機会が増えていませんか?
サイバー攻撃は、もはや一部の企業だけの問題ではなく、全ての組織が日常的に直面するリスクとなっています。特に、従業員のセキュリティ意識(セキュリティアウェアネス)の欠如が原因で、攻撃者の侵入を許してしまうケースが増えています。そのため、「人」への対策が企業の防御力を左右すると言っても過言ではないでしょう。
「人」に起因する脅威、セキュリティ対策の新たな焦点
実際に独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表した「情報セキュリティ10大脅威2025」(※1)では、以下のように「人」に起因する脅威が複数ランクインしています。
- 第5位:機密情報等を狙った標的型攻撃
- 第9位:ビジネスメール詐欺
- 第10位:不注意による情報漏えい等
また、デジタルアーツ社が2025年に公開した「国内セキュリティインシデント集計」(※2)でも、誤操作やメール誤送信といった人的ミスが、多くのインシデントを引き起こしていると示されています。
つまり、サイバー攻撃の多くはFirewall(外部からの不正アクセスを防ぐ仕組み)やEDR(Endpoint Detection and Response:端末の脅威を検知・対応するセキュリティ製品)の導入などの「技術的な脆弱性対策」だけでは防ぎきれず、従業員のセキュリティアウェアネス向上といった「人的な脆弱性対策」とセットで対応する必要があるのです。
こうした背景を踏まえ、従業員一人ひとりがサイバー攻撃の手口を理解し、適切に対応できれば、企業全体のセキュリティレベルは向上します。
※1 情報処理推進機構「情報セキュリティ10大脅威 2025」:
https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2025.html
※2 デジタルアーツ社「国内セキュリティインシデント集計」:
https://www.daj.jp/security_reports/44/
メールを使ったサイバー攻撃の実態と対策
サイバー攻撃の多くは、メールを起点に仕掛けられています。攻撃者は、業務メールを装って不審な添付ファイルやリンクを送り付け、マルウェア感染やフィッシングサイトへ誘導し情報窃取を狙います。
総務省が公開している「サイバーセキュリティ対策の手引き」(※3)でも、メールを起点とした攻撃の増加が指摘されています。特に、Emotet(高度で巧妙なマルウェア)やビジネスメール詐欺(BEC)など、実在の人物になりすました巧妙な手口が多発していると報告されています。
実際にEmotetの攻撃例を見てみましょう。(※4)

※3 総務省「サイバーセキュリティ対策の手引き」:
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/security/business/admin/05/
※4 IPA「Emotet攻撃の手口」から引用
https://www.ipa.go.jp/security/emotet/attack.html
たとえば、マルウェア「Emotet」は、実在の人物になりすましたメールを送りつけ、添付ファイルやリンクを開かせて感染を広げます。件名や本文も業務メールを装っており、一見して不審に見えない巧妙さが特徴です。たちの悪いことにEmotetのような攻撃メールは企業に導入済みのメールセキュリティ製品をくぐり抜けてしまい、最終的に受信者の判断に委ねられる場面が多くあります。
このような攻撃に騙されないためには、「攻撃メールの手法や傾向」を知ることが第一歩です。
そして、日常的に「これは本当に安全なメールか?」と立ち止まって考える習慣を身につけることが、被害を防ぐ最大の防御策となります。
まさに、メール対策はサイバー攻撃対策の基本であり、企業全体のセキュリティを支える土台なのです。

テンプレート活用でメール訓練を効率化する
メールを起点としたサイバー攻撃が増加する中、従業員のセキュリティ意識を高めるためのメール訓練は、企業にとって欠かせない取り組みとなっています。しかし、年に1回だけ実施されるような形式的な訓練では、実際の攻撃に対応できる力は身につきません。サイバー攻撃の手口は日々進化しており、その時々の傾向を反映した訓練を繰り返し実施する必要があります。
とはいえ、訓練のたびにメール文面を一から作成し、送信・集計・フィードバックまでを手作業で行うのは、セキュリティ担当者にとって大きな負担となります。そこで注目されているのが、テンプレートを活用した効率的なメール訓練の運用です。
なお、日本シーサート協議会などの専門団体でも、テンプレート活用によるメール訓練の効率化が推奨されています。こうした団体が公開している手引書では、訓練の計画から実施、改善までの流れが体系的に整理されており、テンプレートの整備によって、訓練の質を高めながら、継続的な運用がしやすくなるでしょう。
また、テンプレートを使えば、訓練の効率化に加え、訓練結果の集計やフィードバックの回収も容易になります。これにより、毎回の訓練で得られたデータを比較・分析しやすくなり、改善点を明確に把握できるようになります。
さらに、受講者からのフィードバックや分析結果を社内で共有すれば、訓練がより身近になり、従業員一人ひとりが“自分ごと”として捉えやすくなります。その結果、訓練の質を継続的に高めることができ、セキュリティ意識の「習慣化」につながります。
このように、テンプレートの活用は、メール訓練を「一度きりのイベント」から「継続的な教育施策」へと進化させるカギとなります。
なぜメール訓練は“習慣化”が大切なのか?
「継続的な教育施策へと進化させる」ことの必要性について、もう少し掘り下げてみましょう。
テンプレートの活用によって、メール訓練の運用効率は確かに向上します。しかし、それだけでは十分とは言えません。また、「年に1回のメール訓練は実施している」という企業も多いかもしれませんが、多くの方が「本当はもっと頻繁にやった方がいいのだろう」と、感じているのではないでしょうか。
その感覚、間違っていません。米国のサイバーセキュリティ機関 CISA(Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)が発行した「Training and Awareness Resource Guide」(※5)でも、セキュリティ教育は単発ではなく、継続的に実施されるべきであると明言されています。反復的な訓練を通じてこそ、従業員の行動変容が起こり、組織全体のセキュリティレベルが向上するというのです。
※5 米国のサイバーセキュリティ機関 CISA:
https://www.cisa.gov/sites/default/files/c3vp/crr_resources_guides/CRR_Resource_Guide-TA.pdf
つまり、“継続的にやるべき”という考え方は、私たちの現場でも強く感じるところですが、専門機関のガイドラインにもその重要性が明記されています。
こうした「継続的な訓練の必要性」は、教育効果の維持だけでなく、攻撃手法の進化に対応するための現実的な対策でもあります。特に近年では、生成AIの登場により、攻撃者が自然な日本語で説得力のあるメールを大量に作成できるようになりました。これにより、日本を狙った標的型攻撃やビジネスメール詐欺が急増しています。
実際、最近のニュースや新聞でも報道されている通り、日本企業を狙った標的型攻撃やビジネスメール詐欺が急増しており、従来の訓練では想定しづらいほど巧妙な手口が使われています。
こうした状況では、攻撃手法の変化に応じて訓練の更新と継続が欠かせません。
繰り返し訓練を行えば、従業員は「知識として知っている」状態から、「無意識に正しい行動がとれる」状態へと変化していきます。これは、スポーツや語学と同じく、反復によって行動が定着するプロセスです。
たとえば、最初は「怪しいメールを見分けるポイント」を意識的に確認していた従業員も、訓練を重ねることで、自然と違和感に気づき、開封やクリックを避ける行動が取れるようになります。
このような「無意識の防御反応」が身につくことこそが、セキュリティ意識の習慣化です。
また、訓練を定期的に実施することで、従業員の関心や危機意識を維持しやすくなるという効果もあります。「また訓練か」ではなく、「今回はどんな手口だろう?」という前向きな関心を引き出すことができれば、訓練は単なる義務ではなく、日常業務の一部として定着していきます。
つまり、セキュリティ対策の本質は“知識の提供”ではなく、“行動の定着”にあります。そのためには、継続的な訓練とフィードバックのサイクルを回し続けることが、最も効果的なアプローチなのです。
メール対策テンプレートで運用負荷を減らす工夫
メール訓練の継続的な実施が重要であることは、これまで述べてきた通りです。しかし、実際に運用を担う担当者にとっては、「毎回違うコンテンツを考えるのが大変」、「専門的な知識が必要」、「訓練の効果が見えづらい」といった悩みがつきものです。
こうした課題に対しては、運用の仕組みを整える必要があります。ここでは、訓練を継続的に実施するためのポイントを2つに整理してご紹介します。
ポイント①:テンプレート活用で「ネタ切れ」や「属人化」を防ぐ
訓練メールのテンプレートをあらかじめ複数パターン用意すれば、毎回の文面作成にかかる時間を削減できます。また、テンプレートを共有・管理することで、担当者が変わっても一定の品質で訓練を継続できるようになります。
たとえば、以下のような分類でテンプレートを整備すると、攻撃手法の変化にも柔軟に対応できます。
- 添付ファイル型(業務連絡、請求書など)
- リンク誘導型(社内システム更新、アンケートなど)
- ログイン誘導型(パスワード変更通知、セキュリティ警告など)
テンプレートをExcelやスプレッドシートで管理し、訓練履歴や効果測定結果と紐づけることで、PDCAサイクルを効率的に回せます。このような仕組みが整備できれば、訓練の準備や実施が属人化せず、誰でも一定の品質で運用できます。
ポイント②: 自社運用と外部支援のバランスを取る
以前は、メール訓練を外部業者に委託するケースが一般的でしたが、最近ではトレーニングプラットフォームを導入し、自社で運用する企業が増えています。その背景には、「訓練を一度きりで終わらせず、継続的に実施したい」「自社の業務や文化に合わせて柔軟に設計したい」といったニーズの高まりがあります。
こうした動きは、海外で確立されている「セキュリティアウェアネストレーニング(SAT)」という考え方にも通じます。海外でのSAT市場では、企業が自らの手で継続的なセキュリティ教育を行う体制が一般化しており、この流れは日本国内にも広がりつつあります。
実際に私たちのお客様の中でも、「訓練の効果を見える化して改善につなげたい」「従業員のリテラシーに応じた教育を行いたい」といった声を多く耳にします。IT部門と営業部門、新入社員と管理職では、求められる知識や判断力が異なるため、一律の訓練ではなく、個別最適化された教育設計が求められているのです。
そして何より、従業員が「自分のためになる」と感じられる訓練は、前向きな参加を促します。
一方で、「受けなさい!」と強制されるだけの訓練は、形だけになりがちで、疲弊や反発を生むこともあります。セキュリティ教育を“自分ごと”として定着させるには、一人ひとりにフィットする設計と、「なるほど、これは自分にも関係ある」と思えるような伝え方がカギになります。
このように、テンプレートの活用と自社運用の工夫、そして従業員に寄り添った教育設計を組み合わせることで、メール訓練は『一度きりのイベント』から『継続的な文化づくり』へと進化していきます。
そして、こうした取り組みを効率的かつ継続的に実現するためには、KnowBe4のようなセキュリティアウェアネスプラットフォームの活用が非常に有効です。テンプレート管理、訓練の自動化、効果測定までを一元的に行えるため、属人化を防ぎながら、誰でも高品質な教育を継続できる体制を整えることができます。
当社は、「KnowBe4」(ノウビフォー)というSaaS型のセキュリティトレーニングサービスを自社でも活用しながら、企業における従業員のセキュリティ意識向上を支援しています。KnowBe4の詳細については、以下をご参照のうえ、まずは資料をご覧ください。
セキュリティ意識向上トレーニングプラットフォーム「KnowBe4」


